すっかり定番の「月色シリーズ」(上の写真:月色のグラス@¥4,860)
長いこと作っている気がしていましたが、
実は作りだしてからまだ2年も経っていないんです。
自分でも驚きます。
光の加減や角度で色が変わって見える、この不思議な色味が特徴で、
どうしてこう見えるのかお客様にもよく聞かれますが、
実は僕も詳しい理由はわかりません。。
ただ、「こうやって作るとこういう色味になる」ってことだけわかっているので、
「どうして?」の答えの代わりに作り方をざっと紹介いたします。
このシリーズはホウ珪酸ガラス(耐熱ガラス)を材料として、
バーナーを使って成形するバーナーブローと呼ばれる技法で作ります。
まずは材料となるガラス管を作るサイズに合わせて切り離します。
さてこれが色の元となるものです。
小さくて見えませんが、ガラス棒の先端に「純銀」の小片がついております。
先ほどの銀を火にかざすと酸素+ガスの高温の炎で気化します。
で、その前方にガラスを構えておりますと、表面に銀の微粒子が付着するようで、
直後はこのような、アンバー〜茶色の色味を発しています。
つぎはドット模様をつけていきます。
全体を軽く炙りながら、溶かしたガラスをひとつひとつのせていきます。
ドットをのせ終わる頃には、温度が加わって色味が黄色に変化しています。
ただしこの状態ではまだ、青白い色味は発しておりません。
そして、弱めの炎でじっくりと炙ります。
炎が強すぎると、色が飛んでなくなりますので、火加減に気を配ります。
先ほどのドットが馴染んで、全体が程よく焼けたら息を入れて膨らまします。
この辺りで、青白い色味も見え始めます。
ちなみに写真では高温のため、赤みがかって見えています。
あとは、ウツワの形をつくっていきます。
作るものによって、手順が色々変わってきますが、
これはグラスの横部分を作っているところです。
底も平らに仕上げて。
ウツワの下半分の形ができたところで、底に作業棒を熔着します。
次は口の部分をつくります。
よく炙って。
道具でくびれを入れて、叩いて切り離します。
すると、ちいさな穴が開きます。
この穴をよく炙って、遠心力も利用しつつ。
最後は道具を使って、一気に広げます。
このように熱を加えて小さな穴を広げて、口の部分を作っているので、
口元はなじんで滑らかです。
また不自然に薄すぎたりもしないので、薄い割には比較的丈夫なウツワになります。
このあと作業棒を取り除き、一晩かけてゆっくり冷まして完成となります。
グラス以外にも、
カップ、片口、ぐい呑、タンブラー、ポットなどを作っていますが、
銀を付着させる〜丸く膨らますまでは、全て同じ工程を踏んでいます。
ざっとのつもりが長くなってしまいましたが、
「月色シリーズ」に、よりご興味お持ちくだされば幸いです!
ryu