何年ぶり?のグラール玉


これ、ガラスをつくる人達の呼び方なのでしょうか。
「グラール玉」って言います。通称「グラ玉」
吹きガラスで、卵形に吹いた玉を一度冷まし、それに細工をして、
もう一度この上にガラスを巻き取る為に用意するもの。

私がグラールをつくる時は、ガラスの間に模様をサンドイッチしたい時。
卵形の生地に高温の白いエナメルを全面塗り、乾いたらそれを削る。
ひたすら削る。
そんな作業に時間をかけています。
これが自分のいい時間なのです。

でも、このグラ玉、なかなか手間のかかる作業で。。
実は子供を産んで、吹き場作業をryuに頼むようになってからは
しばらく封印?してたんです。

例えば、5時間かけて模様を彫ったグラ玉でも、
吹き場でもう一度吹き竿につけて、
上にガラスを巻いた時に失敗してしまうことだってある。
そんなプレッシャーの多い技法だから、
近年はしばらくお休みしてました。

母になってからのエナメル仕事は
カタチを仕上げたガラス生地の表面に、
低温のエナメルを施し模様を入れること。
より細かいモヨウを残すことが可能だし、じっくり時間をかけられて
今の私にはぴったりの作業なのです。

今回、久しぶりに「グラ玉」を再開しようと思ったきっかけは、
昔つくったこの雰囲気の作品を気に入って下さった方から
新たに制作を頼まれた事。
先日、5年ぶりに吹きガラスの現場を体感して
そろそろ又あのタイプのモノもつくってみたいなあ。
と思っていたところだったので、ちょうどいいタイミングでした。

仕上げたグラール玉を電気炉にいれてゆっくり温めます。
急激な温度変化で割れないように、
550度付近まで2時間ほどかけて温度アップ。

吹き竿の先端につけます。
1200度の焼き戻しの窯で少しづつ焼いて
表面のエナメルをしっかり焼き付けます。
それからどろどろに溶けたガラスをこの上に巻く。
そして吹く。

今回のご注文のうつわは大鉢。
これは吹いて、今から高台部分のガラス種をつける前です。
(ベージュに見えるのはガラスの温度が高いから。冷めたら白色です。)
ホントはガラスを上に巻き取った時が一番キレイなのですが
作業途中すっかり夢中になってしまって、
あんまり写真を撮れませんでした。

でもなんとか形になり、無事仕上がりました。
今はまだ金沢の工房の徐冷炉(電気炉)のなかで
ゆっくり冷めていっている頃です。

久々のグラールもの。
出逢うのが待ち遠しい。

myu

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